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プロローグ

 投稿者:語り  投稿日:2017年 7月19日(水)23時56分34秒
  「ライ・グラスドール以下4名、本日付でシュヴァルツ騎士団第3軍に配属となりました!」

 シュヴァルツ帝国東部、シュタール市。その市内中央にあるシュタール城の騎士団駐屯地で、ライとターニャ、スヴェニーとトゥアンは第3軍団長ハラルド・ベイツに拝謁していた。

「よく来た。第3軍は諸君らを歓迎する」

 そう答えるハラルドは、立派な口ひげをたくわえた「いかにも」という感じの騎士である。
 ノイシュタールを出る前にダニスンに教えてもらった情報によればシュヴァルツ騎士団叩き上げの武人だということだったが、なるほど最前線を任されているだけあって精悍な印象の男であった。

「諸君らは第1高等学園を優秀な成績で卒業し、また一年大戦にも参戦した経験があると聞いている。だが、此処は安全な学園の中ではなく、また諸君らをサポート出来るほど多くの騎士がいる訳でもない、辺境の最前線である。さらに付け加えるならば、シュヴァルツ騎士団は中央の騎士団のように封神騎だけ乗っておれば良いというものではない。この地に展開する陸軍・海軍の兵とも緊密に連携し、時には彼らを動かす指揮官の役目も果たさねばならない。
諸君らが一刻も早く当地での任務に慣れ、誇りあるシュヴァルツ騎士団の一員となることを期待する。
以上だ」

 ハラルドの訓示が終わると、続いてそのパートナーのディートリンデ・ベーレンブルッフが進み出た。20代半ばであろうか、凛とした雰囲気の美女の登場にスヴェニーがひゅうと口笛をならす。「こら」と、ライは慌てて悪友をたしなめた。

「ライ・グラスドールならびにタチアナ・リューコフは、封神騎チャンドラと共にシュタール隊に配属、第3軍団長ハラルド・ベイツの直属となります。よって、以後はベイツ卿の指示に従ってください。
スヴェニー・ファウスならびにトゥアン・インデッハは、封神騎ジルゴールと共にアマール支隊に配属、明日シュタールを出立し、赴任地アマールにて支隊長ラクエル・ターナーの指示を受けてください。
いずれにせよ、配属翌日より封神騎慣熟のための訓練が行われます。今日のところはゆっくりと休み、訓練に備えて体調を整えるように。
以上です」

 こうして着任式が終わり、4人は昼食がてら市内見物をしに街へと繰り出した。3年間過ごした首都ノイシュタールとは比べ物にならない小さな街だが、それでも様々な店があって通りは賑わっている。

「何かしら旨いものが食べられそうだな~」
「そうね、ここはこの辺りじゃ1番大きな街だもの。商人も多いし、不便はないと思うわ」
 匂いにつられて鼻をひくつかせるスヴェニーに、笑いながらターニャが応じた。
「そういや、ターニャはこの近くの出身だっけ?」
「うん、2人が行くアマールから少し離れたところ。舟なら1日くらいかな? アマールも立派な港町よ。故郷にいた時には、時々買い出しに行ってたわ……あーあ、赴任地が逆だったら良かったのに」
 トゥアンの問いにも答えると、ターニャは残念そうに口を尖らせた。その様子に笑いをかみ殺しながら、ライは辺りをきょろきょろと見回しているスヴェニーに話しかけた。

「離れ離れになっちまったな」
「3年も一緒にいたんだ。せいせいするさ……それよりも、アルルだよ~! 遠距離恋愛になっちまった!」

 憎まれ口を叩いたスヴェニーが、仰々しく天を仰いで嘆く。だがそんなやり取りも今となっては楽しいものだと、ライは心の中で思った。
 いよいよ明日から、新しい生活が始まるのだ。

「ま、お互い頑張ろう」
「死ぬなよ、ライ」
「あのなぁ」
「くすくす……」

 他人が聞いてもそうは思えなかっただろうが、4人はそんな言葉でお互いを励ましあったのだった――。
 

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